主催した競技会の参加者アンケートで、「競技会における反省点は?」という質問に対してダントツ多い回答は、「犬が集中せず、練習どおりには動けなかった」というものだった。

多くの他ドッグスポーツと違い、ドッグダンスはその競技の中に犬の欲求本能を満たす動きが少ない競技だということが理由の一つであろう(特に脚側中心のHeelwork to Music部門。国際規定では最長4分間、休止なく動き続ける)。速さを競って走ったり、物体を捕まえたりする競技ではない。嗅覚を使う競技でもない。

基本的に屋内競技であるため、各会場によって観客が出入りする扉の位置や、会場の形状に影響されリンクの大きさが相違することも多く、毎回会場の環境差が大きい。
本能的要素を報酬として使えない分、ディストラクションが多い分、そして審査対象になる演技が不定形でフレキシブルとなる分、ドッグダンスにおいては「ハンドラーとの絆」が演技の成功のカギを握っているといって過言でない。

逆にドッグダンスは、犬の身体能力を問わず一生涯楽しむことができる。動きが緩慢で難易度の高いトリックがなくても、競技審査としての優劣はともかく、犬の真摯な姿が観客を感動させるのである。
競技会の中で、全盲の犬たちの素晴らしい演技を何度か見たが、心の目でしっかりとハンドラーを見つめる姿には目頭が熱くなった。

強固な絆を作るのに大切なトレーニングは、「指示どおりに動いていることに対してよく褒めて、自信をつけさせる」こと。
「理解しようとしている君は偉いよ!」と叫び続け、できるムーブを徐々に正確さや難易度をあげていく繊細な訓練なのである。

「パパママと作業することが楽しい!」と認識させるには、報酬が不可欠。特にハンドラーとのやりとり(受け渡し)が生じるオモチャへの執着が重要である。
競技のムーブを教える前に、この報酬の価値をウンと高めておく下準備が、その後のトレーニング成果を何倍にもする秘訣と考えている。

具体的に言えば、オヤツは空中キャッチをコマンドで出来るようにしておき、オモチャではボールのやり取りなど、ハンドラーとのゲームが楽しいことを習得させておく。
ボーダーコリーなど作業犬は、オモチャへの執着が元々高い犬が多く上記を教える必要がない場合が多い、一方、愛玩犬種はオモチャへの興味がない子も珍しくなく、まずはオモチャでハンドラーと遊ぶトレーニングが必要となってくる。

間違っても、値千金の報酬、たとえば一万円札をフンと言ってゴミ箱に捨てるような犬には育てたくないこと。さほどバリエーションのない日々のオヤツでも、使い古したオモチャでも目をキラキラさせる犬にしておくことである。

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