災害、車での移動、入院時のプレ・トレーニングとして、クレート・トレーニングは大変重要で一番重要な必須マナーといえます。加齢している犬だと1日や2日では完成しませんので、日ごろからトレーニングして、できるようにしておきましょう。
犬の問題行動は、縄張り意識と結びついていることが多いので、その解決には、DDCではクレート・トレーニングから入ることも少なくありません。

では、実際のクレートの犬の慣らし方について解説します。

【用意するもの】
1 犬にあった適性な大きさのクレート(犬が怖がりである場合上半分をはずしたりするので、舟形で上下分離するものを選ぶこと)
※個々の犬にあった適性な商品の選び方についてはこの直前のブログを参照。
2 ごはんのお皿
3 好きなオヤツ(クレートの色と同化しない色(クレートは暗い色が多いので、白い色のオヤツが良い。また床に臭いがつくウェット系のものよりドライ系のものが適切)
4 クレートをすっぽり覆う大きさの布(透けないもの、中に犬が噛みついて引き込まないように薄すぎないもの)
5 コング(ゴム上のチョコレート・コロネ上ので、中にオヤツを詰めるもの)
※犬によっては、コングがゴム製で嫌う場合があるので、その場合は使わないこと。

【トレーニング前の準備期間にすること】
クレートの中に入ることを怖がるようならクレートの入り口近くで、皿に入ったご飯をあげて、クレートに慣らしておく。

【クレート・トレーニング】
1 オヤツを、扉の中入ったすぐの中地点、もしくは、クレートの扉の外・直前地点から一粒づつ、中に犬が入っていくようにオヤツを置き、食べていくと自然にクレートに犬が入っていくようにする。次第にクレートの中に投げ入れる。この時点で犬が入るのを嫌がるようなら、決して無理をしないこと。中に入るのを極端に怖がる犬の場合、舟形クレートであれば、上半分を取り去り、しばらくはその中でご飯を上げるパターンにして、様子をみること。


2、1を繰り返し前足が完全に入るようになったら、犬を★クレートの外に出し扉を閉めて、スキマから美味しいオヤツを一粒づつ、犬に見えるようにして投げ入れ、犬を数分じらす。しばらくしたら、中に犬を入れる。この段階でも扉を閉めないほうが良い犬が多い。
布をクレートの奥側に、半分くらい覆うように外が見えないようにかける。


3、クレートの扉と反対側から布を多いオヤツを投げ入れる。可能であれば、コングにすぐに取れないようにオヤツをギューギューに詰めて、コングの2つの穴にタコ糸を通し、クレートの奥の桟のところに縛り付け、ボクシングのパンチング・ボールのように吊り下げた状態にする。
4、1~3を犬の様子を見ながら繰り返し、次第にクレートの中に短時間でも犬がいても、扉を閉められるようにする。同時に布も外が全面見えない状態に4面覆う。ときどき布をめくって、★無言でオヤツを「棚ぼた」のように外側の扉以外の4方向の桟の隙間からバラバラ入れる。
5、上記を繰り返し、自宅で完全にクレートに静かにいられる状態になったら、車の中、公園、競技会の会場など周りの環境を変えて慣らしていく。

【重要なこと】
犬によって、クレートに慣れる時間や、恐怖心の度合いは違う。犬の様子をよく見て、上記のやり方を参考に焦らず、続けること。
うまく学習できないようなら、信頼できる近隣のトレーナーに相談すべきである。犬のいる家庭環境は個々に違うため、他の要因がクレート・トレーニングを難しくしている場合もあるため。